昭和3年(16陽会)1928年

NO5

〈朝日新聞〉
昭和3年8月6日(月)鳴尾
 開始午前9時20分 閉戰11時35分 球審・西川、壘審・深井
▽2回戰
 神戸二中 100 010 000 1=3
 瀧川中學 000 002 000 0=2

 (延長10回)

 〔二 中〕       〔瀧 中〕
 左 太 田 39打數29 左 池 野
 中 山 本 5安打2 一 竹 内
 三 丸 山 1犠打2 中 長谷川
 一 田 中 0三振2 遊 吉 田
 投 大 橋 2四死6 投 佐 藤
 遊 池 田 5盗壘0 捕 酒 井
 捕 前 田 1失策10 三 奥 山
 PH 甲 斐 1二打1 二 久 米
 右 志 摩      右 向 原
 二 牧 野

☆絶好のゲーム 瀧中けふも補回戰で 遂に神二中に敗る☆
▲第一回。二中=太田四球、一死後二盗して刺され、丸山遊三間安打、田中の左中間二壘打に生還。▽瀧中=一死後竹内四球、長谷川の投飛に併殺。
▲第二回。兩軍凡退。
▲第三回二中無為。▽瀧中=久米四球に出で投手のボークに二進したが入らず。
▲第四回。二中=田中安打、大橋バントし、三壘手の暴投に生きたが池田の遊匍に大橋封殺、池田二盗後前田の二直に池田併殺。▽瀧中=三者凡退。
▲第五回。二中=志摩遊失二盗、太田二匍一失に三進、山本の遊越安打に生還し、なほ機會あったが入らず。▽瀧中無為。
▲第六回。二中=大橋二匍暴投、池田遊匍失に出て前田バントに二、三壘によったが二者飛球に終る。▽瀧中=久米三失、向原死球に出て、池野のバントに進壘、竹内三振後長谷川四球、滿壘の機に吉田右中間安打して二者一擧に還り同點となったが長谷川二三間に挟殺。
▲第七回。二中、瀧中の好守に入らず。▽瀧中もまた凡退。
▲第八回。二中=池田一安打のみ。▽瀧中凡退。
▲第九回。瀧中の守備固く二中無為。▽瀧中、長谷川内野安打のみ。
▲第十回補回戰に入り二中、田中遊匍失、大橋のバントに送られ池田中飛、前田の遊匍、一壘高投し前田二盗後ピンチヒッター甲斐二匍失に田中還り貴重なる一點を挙げる▽瀧中久米死球に出で向原のバントに二進、池野の投匍、投手久米を刺さんとし二三壘間挟撃したが、遊撃失して一死走者二三壘によったが竹内中飛にダブルプレイを喫し萬事休す。

《武 陽》
▽第三回戰 本校對姫路中學
 昭和3年8月7日(火)甲子園
☆復讐せん哉機は熟す!!!☆

本日相見えんとする姫中軍、嗚呼!過ぐる年月、幾度か復讐を叫び、遂に将た幾度か敗れて果さゞりし積年の怨、今この甲子園原頭に晴さんとす。
敵は強敵。全軍力を合して敵陣に殺到せん。たゞ、意氣と力と熱とをもて。
期は到り、時は熟しぬ!!再思すれば、嗚呼!!

怨みを呑んで幾星霜、この斷腸の幾歳を今勝たずんば、何時の日かあゝ何時の日か榮光に輝く覇權を握るべき。
いざ、進まん晴れの甲子園頭に。
八月七日、その日天氣飽迄晴朗なり。
午前十時四十五分加藤主審高らかにプレイを宣告す。

第一回。(姫中)竹田二匍、黒田右飛に退き、續く水田よく選球して四球を利し、永尾遊撃ゴロを好漢田中落球して、水田この機に三壘より駿足を利して猛襲し捕逸に生還、永尾二壘に據る。この續く田代の左飛を太田落球して永尾も生還。重なる味方の失に憤然として大橋投手巧妙なる牽制球を投ずれば、美事に引掛り田代犬死す。

(二中)自分の一失に一點を與へし我軍のトップバッター太田この失を償はんと一棍を提してバッターボックスに入り、獨特の變形打法を以て、名投手に對す。一打すれば生ずる快音!白球は線をなして左側ファウルライン近くに落つる美事なるライナーなり。

 駿足をうたはれる太田はすでに二壘に達し、徐に次壘を窺ふ。次打者山本のボックスにあるとき水田第一球を投ぜんとするや脱兎の如く三壘を襲ひ捕手の送球は壘上安全たる後に到る。美事なる盗壘、美事なるベースランニングなり、山本よく選球した後惜しくも三振したが、丸山の投前バントに太田生還。

 續く我軍の重量打者田中一打したが、當り悪く三前の不規則バウンドして遂に内野安打となり一壘に生く、大橋ストレートの四球に敵投手水田滿壘策を取る。池田遊匍したが丸山スタート悪く本壘に憤死す。續く前田よく粘ったが三振を喫し、三走者空しく壘を去る。この回敵は得點2我は1、一點を輸すと雖も斷然敵軍壓す。

第二回。(姫中)福田、ライトの右へ安打、絲賀の直球安打性の難遊飛を池田主将よく後退して、シングルにこれを止め、更に球を一壘に投じて福田をも刺し、美事なるダブルプレーを行ふ。我軍遊撃池田流石は主将なり。好退好捕に泰山の安きを思はしむ。一壘田中又池田よりの投球を好捕して前失を償ふ。松本右中間テキサス、依然として敵軍の打棒當り悪し。榮永四球に出壘せしが、竹田二壘ゴロに終る。

(二中)前回の攻撃の手を更に緩めず、追撃戰に移る。志摩遊匍して一死牧野よく選り四球を利して出づ。續く太田又も二遊間に直球安打を放ち、山本も三遊間を抜いて安打となり、再び一死滿壘となる、丸山二匍して牧野本壘に仆れ、田中三振して重量打者振はず、又も走者空しく壘を去る。敵投手水田一流投手の名に違はず巧妙なるコンビネーションに必死となりて我軍の猛撃を退く。

第三回。(姫中)黒田の三匍、丸山の投球稍々悪投となり田中失して生かしたが、水田の二匍でフォースアウト。水田も又牽制球に死す。大橋ますます巧妙さを加ふ。永尾左飛して止む。敵軍の退くや輕し。

(二中)大橋、池田共に三壘頭上を抜くライナーヒットに出で、前田もよく粘ったが惜くも三振、續く志摩の四球に三度一死滿壘の機到る。牧野のスクヰーズ成らず。三壘走者釣り出されたが、捕手と左翼手の暴投に池田、大橋踵を接して生還。一點をリードす。太田、牧野三振にやむ。

第四回。(姫中)田代一二間に安打して出で直ちに二盗、福田の投前バント犠打に送られ、續く絲賀の遊匍に生還。橋本三振後、榮永左前安打、太田失する間に二壘を奪ったが、竹田三振して止む。
(二中)山本二度目の安打を三遊間に放ち、丸山のバントに送られ二壘に到る。續いて四番打者田中滿場の大歡聲を浴びて立ったが投匍して仆れ、山本その間三壘に到る。大橋三振して空し。

第五回。(姫中)黒田選球して四球に出たが大橋三回目の牽制球に死し、水田三振、永尾貧弱なる投匍に終り、吾軍投手大橋の腕漸く冴ゆ。
(二中)池田三匍、前田投匍、志摩三振に退き敵投手水田の腕も亦冴を示して我軍空し。

第六回。(姫中)田代二飛、福田中飛、絲賀遊飛に敵軍三者凡退。
(二中)牧野右飛、太田遊飛、山本二飛に退き、兩軍盛に凡フライを打上ぐ、今や投手戰酣なり。

第七回。(姫中)橋本二飛、榮永遊飛に二死となりし後、竹田デッドボールに出で、投手暴投に二進せしも黒田遊匍にやむ、大橋僅かに變調を見せたるのみ。
(二中)丸山三匍、田中遊撃ゴロ失に出壘せしが續く大橋の遊匍にフォースアウトを喫し、池田中堅へ大フライを打揚げたが好守に阻まれて空し。
かくてラッキーセヴンも兩軍に幸せず變化なく過ぎたり。

第八回。(姫中)水田中飛、永尾左翼強襲二壘打に出でしも、田代一飛、福田三匍に空し。
(二中)前田劈頭一打すればライトのアウトライン近くに飛ぶ大飛球なり。敵軍右翼好走せしも、僅かにグラヴにかけたるのみで後逸し三壘打となる。續くピンチヒッター甲斐及び牧野三振して二死となり、太田の三邪飛をよく走って捕へてやむ。

第九回。愈々終回に入り兩軍決眦して立つ。
(姫中)最後の攻撃も絲賀遊飛、橋本遊匍、榮永中飛にあへなく終り。
(二中)應援團の怒號と雷呼の中に總攻撃を開始す。山本二遊間を放って出で、丸山の犠牲打に送られ、田中の遊匍に三進、時に二死、次打者大橋四球に出され、池田主将大歡聲を浴びて静かにボックスに入る、

 姫中水田投手、この最終回に到りて當面せる最大の危を脱せんと、苦心して投ぜし一球池田一打すれば二壘へのゴロ、二壘手ハヂイタ後一壘に投じ、池田も快走一壘に達す。見ゆるや同時、差や一瞬審判はセーフを宣告しこゝにこの大接迫戰は終りぬ。
嗚呼我等は勝てり!!旭日の下に我等の苦心は報ひられて譽は高く輝きぬ。

 姫路中學 200 100 000=3
 神戸二中 102 000 001=4


 〔姫路中〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 6 竹 田 30000001011
 5 黒 田 20000000011
 1 水 田 31000001210
 3 永 尾 41110000000
 2 田 代 41100000001
 8 福 田 30100010000
 4 絲 賀 40000000000
 9 橋 本 40100001000
 7 榮 永 30100000010
     計 303510013243

 〔二 中〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 7 太 田 51210001102
 8 山 本 41300001000
 5 丸 山 20000030000
 3 田 中 50100001002
 1 大 橋 31100001020
 6 池 田 51100000000
 2 前 田 40101002000
 9 志 摩 20000001010
 PH 甲 斐 10000001000
 4 牧 野 30000001010
     計 344911039144

〈朝日新聞〉
昭和3年8月7日(火)甲子園 開始午前10時45分 閉戰1時25分
球審・加藤、壘審・松田、竹村
▽3回戰
 姫路中學 200 100 000=3
 神戸二中 102 000 001=4


 〔姫 中〕      〔二 中〕
 遊 竹 田 31打數36 左 太 田
 三 黒 田 5安打8 中 山 本
 投 水 田 1犠打2 三 丸 山
 一 永 尾 3三振9 一 田 中
 捕 田 代 4四死4 投 大 橋
 中 福 田 2盗壘0 遊 池 田
 二 絲 賀 3失策4 捕 前 田
 右 橋 本 0二打1 左 志 摩
 左 榮 永      PH 甲 斐
            二 牧 野

☆水田投手の秘策も 聯絡を缺いて敗れた☆
〔第一回〕姫中=二死後水田四球に出で二盗、永尾の遊匍を一壘落球して水田この機によく廻って一擧本壘を衝いて想はぬ一點をあげ、續く田代の左飛失に永尾も還り二點を先取し幸先よし。

▽二中=太田左側邪飛線近くライナーを呈して二壘に達し、ついで三盗、好機を作り、山本の三振後、丸山の投前バントに生還、田中三前の内野安打、大橋ストレートの四球で一死滿壘、池田遊匍して丸山本壘に射殺され、前田二−三の後ファウルし次いで三振、水田投手よく危機を脱す。  

〔第二回〕姫中=福田右側安打、絲賀の難遊飛を遊撃よく退ってシングルで止め、一壘に福田をも刺して美事なダブルプレー、松本中右間テキサス、榮永の四球も竹田二匍に空し。
▽二中=一死後牧野四球、太田、山本共に安打し、またも一死滿壘となったが、丸山の二匍で牧野本壘に死し、田中三振して點を加へず。

〔第三回〕姫中=出壘したが二中の守り堅くて入らず。
▽二中=大橋、池田共に三壘頭上を抜いて出壘、前田三振、志摩四球で三度一死滿壘の好機を迎ふ、牧野ボックスに立つ、水田スクヰズの裏をかきスローボールを投げ三壘走者をつり出して挟殺せんとし却って捕手、左翼手の悪投にむざむざ二點を與へてしまふ、牧野、太田三振二中リードす。

〔第四回〕姫中=田代一二間安打し二盗、福田の犠打に送られ絲賀の遊匍に生還して同點、なほ安打あったが入らず。
▽二中、山本三遊間安打、丸山犠打に送り田中の投匍に三進したが大橋三振に空し。

〔第五回〕兩軍毎回危機を孕み壮烈なシーソーゲームに観衆全く醉はされ固唾をのむ、兩軍振はず。

〔第六、七回〕兩軍投手の腕冴え打者何れも凡退。
〔第八回〕姫中=一死後一安打あったのみ。
▽二中=前田右翼邪線近くに戞飛ばし、右翼よく横走グラブにかけたが逸し、走者三壘により場内どよめき立ったがピンチヒッター甲斐及び次打者牧野共におぞくも三振し、太田の三邪飛は三壘快走してよく掴み危機を救ふ。

〔第九回〕いよいよラストインニングに入ったが姫中當らず。
▽二中=山本二遊間安打に出で、丸山、田中に送られまたもピンチを孕みて大橋四球、池田の二匍壘手ファンブルし遂にこのクロスゲームは四A對三で二中軍に凱歌あがる。

《武 陽》
◎准優勝戰 本校對姫路師範

相戰ふ事既に三度、昨日は積年の怨敵姫路中學を破りて我軍の士氣天を衝くの慨あり。本日姫中と郷を同うする姫路師範と相見ゆ。彼もすでに三度敵を破りて今に到るもの、盟友の怨讐を晴さんと意氣強く我に衝る。

彼の陣容を一瞥すれば、先づ天才投手の名を謳はるゝ若冠の舟津投手を擁し技倆に優劣少きバックメンを持して我が大投手大橋を有し優秀なる闘将の活躍を有する我が武陽軍に對せんとす。されど經過は凡てを物語る。優勝の期待深き我軍の軍門に、怨讐晴れずして徒らに投降る乞ふに到る。
八月八日、午前九時十八分開戰。姫師先攻。主審・島道、壘審・小柴、西川

第一回。(姫師)鹿谷遊匍、廣岡、堀井何れも二匍に終る。大橋投手の連日の投球に些かの亂も見せず、得意のサイドスローを打ちあぐみて敵軍容易に退く。

(二中)我軍猪突的猛攻を開始す。太田期待されつゝボックスに入りしも第一球を腰間に受けて死球となり一壘を得、續く山本ベンチの意志に依り正攻法をとり、犠打してこれを送らんとす。輕くバットを當つれば美事なるバントなりしも投手舟津亂れず一壘に投ず。先づ第一段の計畫なり、更に第二段の計畫に入る。

徒ろにボックスに入りて投球を待ちし丸山三番打者、長棍振って一打すれば、投手を猛烈なる匍球にて襲ひ、舟津止むる能はずして強襲安打となり、太田三進し續いて丸山も盗壘し、一死にして走者二三壘に據る。四番の剛打者田中大いに期待されたが空しく三振に終りしも、續く大橋再びデッドボールを受けて滿壘となる。この時すでに二死なれども、決意を眉宇に漲して立しは主将池田なり。

一打すれば、戞と響く快音あり、遊撃の右側を抜いて見事なる安打。太田勇躍生還す。次打者前田のよき選球眼と先づ我軍の猛襲に氣を呑まれし舟津投手の精神的錯亂とは四球を得る處となり丸山押し出されて一點を擧ぐ。されど彼も天才を謌はれる人、直ちに冷静に立返りて志摩を三振に打取りて三走者壘を去る。

第二回。(姫師)安福三振、渡邊遊匍、大西二飛に大橋益々快腕を振ふ。
(二中)牧野遊匍低投に出でたるのみにて、太田一匍、山本捕邪飛、丸山中飛に我軍も空し。

第三回。(姫師)鹿谷三遊間安打に出でたるも、次打者廣田の遊匍に二壘でフォースアウトされ、廣田も亦大橋の巧妙な牽制球に一壘で憤死。續く堀井もセカンドフライに止み、依然として三者三退を續く。大橋投手辣腕を振ふ。
(二中)前田左前へライナーヒットを呈して出壘したるも次の志摩三前バントを一壘に投ぜられた隙に三壘を突いて惜しくも刺されたり、牧野三振に終る。敵の好守好投讃むべきなり。

第四回。(姫師)舟津右飛、苧玉三匍、邑橋三振。
(二中)田中遊撃ゴロ、大橋キャッチャーフライ、池田遊撃ゴロに三者凡退。

第五回。(姫師)依然として振はず、僅に一四球を得たるのみ。
(二中)奇襲効を奏す。太田セイフティバントを企て、第一球を當てれば三壘線近くに轉々とする絶好のバントなり。舟津周章して球を投ずれば高投となり駿足の太田二進し、續く山本の中前直球安打に長驅生還し、終始美事なるベースランニングを續けたり。中堅手本壘へ投ずる間に山本も二壘を盗む。
丸山の一打右翼大飛球犠打となり三壘を得田中の三ナットアウトの間に判斷よく本盗して一點を加ふ。此の太田、山本の美事なるベースランニングは賞しても餘りあるべく敵をして瞠若たらしむるものありき。

第六回。(姫師)苧玉捕邪飛、邑橋左飛、鹿谷四球を利して出でたるも、大橋の巧妙なる牽制球に無惨一壘に斃る。
(二中)池田のいゝ當りもショートの正面へのライナーとなり、前田は左飛に、志摩一飛に走者なし。

第七回。(姫師)廣岡二壘の右をライナーで抜き、堀井も亦中前安打に續きしが、後續不振に恢復の曙光忽ちにして消失。
(二中)牧野中飛に一死後、太田選球よろしく四球を得、山本三遊間を抜く安打を放ち、丸山の投軟内野安打となりて滿壘、田中右前へクリーンヒットを放ちて太田生還。大橋の中堅犠飛に山本の得點。池田遊撃を襲へば焦って失し、丸山生還。池田盗壘後前田の遊側安打で田中も生還、四點を奪ってなほ得點するかと見えしが、志摩の捕邪飛に止む。此の我軍攻に繼ぐに攻撃を以てし、完膚なき迄に、敵陣を撹亂し一擧に大勢を決したり。

第八回。(姫師)舟津中飛、苧玉遊匍、邑橋遊匍。
(二中)牧野三振、太田二遊間安打に出たが、二盗して刺され、山本二匍に攻撃の手をゆるむ。

第九回。(姫師)鹿谷遊匍に一死、廣岡二遊間安打で出壘、堀井四球で二進、續く安福の一匍で走者二三壘に據ったが、渡邊の遊匍に無得點にて潰さりぬ。かくて我軍准優勝戰に八A對零の大記録を以て姫路師範を粉碎し、遂に明日の優勝戰に臨むことゝなりぬ。

昭和3年8月8日(水)甲子園
▽准優勝戰
 姫路師範 000 000 000=0
 神戸二中 200 020 40A=8


 〔姫 師〕 打得安二三本犠三四盗補刺残失
       數點打打打打打振死壘殺殺壘策
 8 鹿 谷 30100000100300
 4 廣 岡 40200000001020
 3 堀 井 30100000102822
 2 安 福 40000001002701
 6 渡 邊 40000000002202
 7 大 西 20000000100100
 1 舟 津 30000000002000
 9 苧 玉 30000000000200
 5 邑 橋 30000001000100
   合 計 2904000023092445

 〔二 中〕 打得安二三本犠三四盗刺補残失
       數點打打打打打振死壘殺殺壘策
 7 太 田 33200000202000
 8 山 本 42200010002000
 5 丸 山 32100010010200
 3 田 中 411000020013200
 1 大 橋 20000010102410
 6 池 田 40000000001720
 2 前 田 30200000103020
 9 志 摩 30000011001000
 4 牧 野 40000002003210
   合 計 30880004541271760