昭和4年(17陽会)1929年

NO4

 浪速商業 100 000 004=5
 神戸二中 001 200 40A=7


 〔浪 商〕 打得安犠盗三四残失
             死  
       數點打打壘振球壘策
 19 馳 川 421010111
 2 湯 川 300100001
 2 北 浦 110010000
 8 中 島 311020230
 97 西 田 300020231
 6 酒 井 300001003
 6 荒 井 100000110
 3 清 水 500000010
 7 中 根 200010110
 1  沈  200002000
 4 谷 本 300000011
 5 松 田 100000110
 54 小 谷 510000001
     計 36521738128

 〔二 中〕 打得安犠三盗四残失
             死  
       數點打打振壘球壘策
 6 牧 野 500001001
 3 甲 斐 513010021
 8 志 摩 310002101
 2 別 所 420000001
 5 丸 山 111000323
 1 前 田 402001030
 7 石 原 300103000
 9 古 林 410000001
 4 中 山 310001102
     計 32761185710

◎對神港商業戰 昭和4年6月25日(火)
 思ひは溯る!明石の大會!!我軍破れり之は敵に今又我部リーグの最後の戰に會せんとわ。
 雄々しく強く正義の神の前に戰へ、敗れて運なきにあらず神の試練なり後の幸の基ひなり、我軍は其後調子よきミラクル投手甲斐を立て津久井を一壘に前田を左翼に、敵は春と大差なく時四時四十五分、玉川氏球審のプレーにサイレンはスタンドに響き渡った。

第一回。(神港)後藤投匍、濱崎三失に生き西垣左前安打し高瀬の三匍に後藤を封じ岸本投飛。
(二中)牧野先づ四球に甲斐の犠打に送られ志摩二匍、別所左翼安打に先づ一點を先取、前田三振に止む。

第二回。(神港)高島三失、島の三匍失の遊匍に進み中根の二匍失に生還、後藤の投匍に止む。
(二中)丸山中堅ライナー安打に出でしも津久井の投匍バントに封殺、中山左飛、石原四球に牧野の遊匍失に津久井還り、甲斐右前テキサスに石原再び得點し續いて牧野、甲斐重走し加點、志摩死球、別所三振す。

第三回。(神港)濱崎四球後二盗し西垣右飛、高瀬四球、岸本の遊匍に濱崎をさし高島遊撃上を抜くかと見えし猛打を牧野好捕す。
(二中)前田三振、丸山三匍、津久井の遊匍に凡退。

第四回。(神港)島遊匍、倉二匍に生き中根二匍、後藤二失後再び二壘手逸球に倉、後藤續いて生還、濱崎二失に生きしも西垣左飛し止む。
(二中)中山三振し石原右中間に安打し牧野の左中間越本壘打に續還、甲斐遊匍、志摩三振に。

第五回。(神港)この回二壘手中山、高野にシートを譲る、高瀬右翼飛、岸本左前安打して高島中飛、島の左前安打に岸本生還、倉遊匍す。
(二中)別所三匍、前田同じく丸山右中間安打し津久井安打に三走し刺さる。

第六回。(神港)中根左翼左方ラインを抜く本壘打し後藤三匍、濱崎二盗を企て刺され西垣四球、高瀬中飛。
(二中)高野三振、石原左前安打せしも牧野三振、甲斐左翼安打を放ちしも志摩三振。

第七回。(神港)岸本三匍、高島、平田に代り遊匍、島左前安打、倉中前安打せしも中根の投匍に止む。
(二中)別所左前安打、前田の犠打に送られしも捕手好投に刺さる、丸山二匍す。

第八回。(神港)後藤右前安打、濱崎投匍バントに送りしも西垣四球に出て一二間に封殺され、その間後藤三走し之を刺す。
(二中)津久井三振、高野捕手逸球に生きしも後殺され石原三振す。

第九回。(神港)高瀬左飛、岸本四球に出で平田遊匍、島三匍!!この最後の球を一壘手が受けた時我々ベンチに居る者は思はず泣いた。審判(壘審)の不公平にも正義は正しかった、神は正大だった、リーグ戰最後を飾るもの之なれ三敗二勝とは云へどこの一期こそ春の力が出たのだ。
チーム一體に春より劣りはしないだらうか、之が夏まで續くだらうか。

 神港商業 010 211 000=5
 神戸二中 130 200 00A=6

 〔神 港〕 打得安犠盗三四残失
             死  
       數點打打壘振球壘策
 3 後 藤 511000000
 6 濱 崎 200110211
 51 西 垣 301000220
 7 高 瀬 400000120
 15 岩 本 411010120
 9 高 島 310000000
 9 平 田 200000000
 4  島  502010020
 2  倉  411000011
 8 中 根 411000010
     計 36571306112

 〔二 中〕 打得安犠盗三四残失
             死  
       數點打打壘振球壘策
 6 牧 野 331001100
 1 甲 斐 302110020
 8 志 摩 300002110
 2 別 所 402001010
 7 前 川 300102000
 5 丸 山 402000002
 3 津久井 411011010
 4 中 山 200001003
 4 高 野 200001000
 9 石 原 322001110
     計 316102210365

〈朝日新聞〉
[ダイヤリーグ成績]
 昭和4年5月22日→7月7日終了
   平 神 甲 海 神 浪
   安 港 陽 草 二 華
   中 商 中 中 中 商
 勝 4 3 2 2 2 1
 敗 1 2 2 2 3 4
 分 0 0 1 1 0 0

《武 陽》
【全國大會兵庫豫選出場之記】

 あゝ若人の血潮高鳴る夏の争覇戰の日よ!!榮光に輝く歴史の力よ!!秋風膚さす武陽原頭に月を戴き寒未だ去らざるにバットの響きは神撫にこだまし春は櫻萬風に薫ずるをよそにし夏は熱球砂をかみ流るゝ汗は衣をしぼるに足る!!何ものにも代へ難い雄々しくも力強い足取りで今日の日を迎へたのだ。

 眞紅の大旆に集る熱烈の魂よ、獰猛の氣よ氣は高く澄む一碧の空のもと白線を亂す一球一打の動揺めき嵩高無比の若人が争覇は幾年の背景にいと壮烈に火蓋を切り向ふ所唯母校愛に包まれて勝利を追ふのみ!!時は來た今夏の覇権の帰趨は今日の日を最初に極めて嚴かに仰げよ、この希望の光!そして健康の美化に純らかな勝利のすゝむ一線を−−。
抽籖の結果第一回戰は不戰一勝となる。

《武 陽》
◎對洲本中學戰
 昭和4年7月25日(木)甲子園
 例年期日に先だつ事十幾日空一點の雲もなく太陽は容赦なく照る烈日の日でした。今までの苦しみ練習この大會の一つ一つに現し弱きをあなどらず強きに屈せずこの大會を唯一のものとして!
 先づ淡路の新進洲中に會戰せり、我軍先攻で球審關根氏、壘審成定氏のプレーに開始す。

第一回。(二中)牧野四球に甲斐遊飛後遊撃手一壘暴投に牧野三走しアウト、丸山左中越三壘打に出で一擧本壘をつき中堅、遊撃の好投に惜くも刺さる。
(洲中)細川、清水三振、正木左中間三壘打せしが草薙三振、還らず。

第二回。(二中)別所中飛安打、續く志摩一二間を抜く安打し石原死球に送られ津久井四球、中山三振、前田遊匍失、牧野四球後捕手逸球に二走し甲斐投手前内野安打し丸山中前安打、別所三壘上を抜く安打、志摩三壘匍球に三壘手本壘高投し石原二匍、丸山すべり込みセーフ、津久井犠打右飛し中山の一匍に九點を入る。
(洲中)米岡四球に出でしも峰谷の遊匍に峰谷は捕手好投に武田三振に無為。

第三回。(二中)前田三振、牧野右翼越三壘打し又一擧本壘を窺ひ倒れ甲斐四球、丸山三飛に止む。
(洲中)厚美、柏木、細川三者三振。

第四回。(二中)別所左中間安打、志摩二遊間を抜く安打、石原四球、津久井二匍に刺され林、中山に代り二匍、前田二壘内野安打に牧野中前安打に甲斐四球に餘裕ありしも丸山の遊匍好捕に止む。
(洲中)清水三振、正木、草薙共に三匍に退く。

第五回。(二中)別所四球、志摩左中間を抜く見事なホームランに長驅し石原二匍に倒れ津久井遊越安打、林中前安打し前田の三邪飛に二死牧野再び右中間二壘打して前二者を還し甲斐中前安打、丸山右中二壘打、別所三振に攻撃終る。
(洲中)米岡遊飛、谷遊匍、武田三振に大勝す。後この大會にこの勝が幾分かの害をなさんとは強敵又新進を敵に廻してつよく中間に弱い二中のチーム精神のなす所だらう。

▽2回戰
 神戸二中 090 55=19
 洲本中學 000 00=0

 (5回コールドゲーム)

 〔二 中〕 打得安犠盗三四残失
             死  
       數點打打壘振球壘策
 6 牧 野 333010200
 9 甲 斐 312000230
 5 丸 山 513000010
 2 別 所 443001100
 8 志 摩 443020010
 7 石 原 220010210
 3 津久井 221100100
 4 中 山 200001000
 4  林  211000000
 1 前 田 411001000
     計 311917143860

 〔洲 中〕 打得安犠盗三四残失
             死  
       數點打打壘振球壘策
 1 細 川 200002002
 4 清 水 200002000
 5 正 木 201000010
 7 草 薙 200001000
 2 米 岡 100000102
 9 峰 谷 200000002
 3 武 田 200002000
 8 厚 美 100001000
 6 柏 木 100001000
     計 1501009116