昭和15年(28陽会)1940年

NO3

〈朝日新聞〉
【第26回全國野球選手権大會兵庫豫選】

 昭和15年7月26日(金)甲子園
 開始午後零時59分=終了2時58分 審判・洲崎(球)間世田(一)戸田(三)
▽1回戦
 神戸二中 102 000 000=3
 姫路商業 000 000 000=0


 〔二 中〕      (姫路商〕
 左 三 谷 32打數30 三 橋本信
 中 竹 中 4安打3 右 柴 原
 投 井 上 8三振7 左 香 山
 一 小 林 7四死6 投 武 田
 捕 柳 田 5盗壘0 中 三 好
 二 本 城 3失策3 一 藤 田
 遊 猿 丸 0暴投1 二 中 井
 三 前 田 0捕逸1 打 長 濱
 右 小 室 1重殺1 捕 橋本透
            遊 多 淵

※《武陽》と〈朝日新聞〉で記録の違いがありますがどちらが正しいかは確かめる方法がありませんのでそのまま掲載します。

○…はじめのうち兩軍投手の肩定まらずほとんど毎回ともに四球、凡失で走者を壘に送り不安な投球を續けたが、第一回二中は三つの四球と野選でまづ一點を拾い、三回には井上の單打、小林の二壘打につゞく重盗、敵失で二點と地道に稼ぎ一方出壘しても失走と後續打者の不振で無為に喘ぐ姫商をじりじり壓迫、

 中半戦に入るとともに兩投手とも立直り、井上、武田懸命の投球は回を重ねるごとに冴えて前半戦とガラリと面目を變へ投手戦となり、三點奪還を目指す姫商必死の攻撃もつひに二中の堅陣を抜けず空しく玉碎す。

《武 陽》
 昭和15年7月29日(月)甲子園
 試合開始午前8時59分=終了10時 審判・三輪竹(球)岡田、山本(壘)
▽2回戰
 姫路中學 000 101 220=6
 神戸二中 100 000 040=5

 〔姫 中〕 打點安犠盗三四失
 6 小 坂 50000110
 7 岩 本 50000110
 8 加 納 61300100
 191 村 上 60100200
 5 伊 藤 32101010
 919 菅 原 32001220
 3 上 野 21000030
 4 千 草 50300000
 2 赤 川 10100040
     計 3669027120

 〔二 中〕 打點安犠盗三四失
 7 三 谷 50300001
 8 竹 中 30001121
 1 井 上 51000100
 3 小 林 30000020
 2 柳 田 41100011
 6 猿 丸 41100011
 4 本 城 41000010
 5 前 田 20100021
 9 小 室 21002120
     計 3256033115

 △二壘打=猿丸、赤川、加納

一回(姫路)加納三匍失に出たのみ。
  (二中)三谷右前安打、竹中三振、井上の二匍に二封、小林四球、柳田の三壘上を
      抜く安打に井上二壘より先づ一點。

二回(姫路)三者凡退。
  (二中)本城三飛後前田左前に痛打すれば小室三振したが續く三谷又々三遊間を破
      って一二壘、竹中の中飛に止む。

四回(姫路)村上中前安打、伊藤の犠打に送られ菅原四球、上野の三匍に村上三封、
      千草の左前安打に菅原生還、一點を許す。

六回(姫路)三つの四球と一失に依り一點を加ふ。
七回(姫路)村上一飛、伊藤、菅原、上野四球に出、千草の安打に伊藤還り赤川の四球
      に菅原還り二點を加ふ。

八回(姫路)更に二四球、二安打、二失に二點を加へた。
(二中)小林三匍の後柳田、猿丸、本城、前田、小室と四球に二點を得、三谷の三本目
    の左前安打に本城還り前田も二壘より本壘を陥し入れんとしたが寸前刺され
    竹中四球に又滿壘、此の時三壘にありし小室敢然物凄くホームスチールを企て
    成功し四點を舉げたが井上二匍。

九回(姫路)三者凡退。
  (二中)二死後猿丸左中間に二壘打を放って出たが續く本城投匍に倒れ此處に一戰
      を失す。

〈朝日新聞〉
 昭和15年7月29日(月)甲子園
 開始午前8時55分=終了11時5分 (球審)三輪竹(壘審)岡田春、山本
▽2回戦
 姫路中學 000 101 220=6
 神戸二中 100 000 040=5


 〔姫路中〕     〔二 中〕
 遊 小 坂 36打32 左 三 谷
 左 岩 本 8安6 中 竹 中
 中 加 納 1犠0 投 井 上
 投右投村上 7振3 一 小 林
 三 伊 藤 12四11 捕 柳 田
 右投右菅原 0盗3 遊 猿 丸
 一 上 野 0失6 二 本 城
 二 千 草 0逸1 三 前 田
 捕 赤 川     右 小 室

 △二塁打=加納、赤川、猿丸

☆二中の肉薄及ばず 6−5 姫中接戦して勝つ☆
 第一回、二中は三谷一、二壘間安打に出で一死後井上の遊匍で封殺されたがつゞく小林四球、柳田の三遊間安打に迎へられて井上生還一點を先取する。
 姫中も井上投手の緩球をよく打ち三回には赤川の二壘打、加納の單打があったが好守に阻まれ四回つひに村上の安打と二つの四球、敵失で一點を返し、同點となり、第六回には一死後四球に出た上野が千草の左前安打に送られ赤川四球の時捕手三壘に悪牽制球を送り上野帰る。

 姫中村上投手の緩いインカーブ功を奏し、二中打者を押へて姫中優勢を持して戰ふうちコントロールを唯一の武器とする井上が七回より疲れ肩の不調を來たしこの回三つの四球と一安打を許し二點を献上、勝敗を決した。

 その後八回姫中はさらに加納、村上の二安打と二つの敵失、スクイズで二點を加へ勝利を確實にしたがその裏二中も俄然、荒れ出した村上から一死後四死球を奪ひ押し出しと捕手逸球で二點、滿壘の時三谷の左前安打で本城帰り、小室本盗に成功、一擧四點をあげて差僅かに一點に迫り猛烈に肉薄したが、すでに及ばず6−5、接戰ののち二中惜しくも敗る。