43陽会 森滝義己氏  中日戦 森滝投手完全試合を樹立

神戸新聞   昭和36年6月21日  水曜日

 

 

セ・リーグ国鉄スワローズの森滝義巳投手は、二十日後楽園球場の対中日十回戦で完全試合を記録した。プロ野球史上七人目。同球場では初めてである。この日の森滝は投球113中ストライク25、うちカラ振りわずかに5、ボール38、ファウル27、打球23、三振わずかに4という数字が示すとおり、力よりもわざのピッチングで見事この大記録を樹立した。

試合が終回に近づくにつれ一万六千のファンは勝負よりも“完全試合なるか”に興味を集中、ふだんと違って重苦しい沈黙のうちにゲームを見守ったが、最後の打者酒井を遊ゴロに打ちとると緊張は一気に爆発、盛んな拍手を送って森滝を祝福した。


 

  0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
  0 0 1 0 0 0 0 0 × 1

打点   打点                  
E 2 0 0   G 4 2 0   打   
1 0 0   E 3 1 0   日  0
    0 0 0   C 3 0 1           0
G 2 0 0   F 9 3 0 0      
1 0 0   D 4 1 0         (4 2 敗)
C 3 0 0   B 3 1 0      
B 3 0 0   H 0 0 0         (4 5 敗)
H     3 0 0   2 0 0  
F 2 0 0   A 3 1 0        
1 0 0   @ 3 1 0        
D 6 2 0 0         # 7 1            
1 0 0          
A 2 0 0     7 4 0 0 0 7           2 9
1 0 0                     1 6、 0 0 0
@ 1 0 0                                    
1 1 0 0              
1 0 0           4 6 1 4 1 1    
    # 0 0             4 1 6 0 0 0    
                                   
4 0 0 0 0 0             6 0 4 0 0 0    


 

国鉄の森滝が変化球を武器に好投、球史に残る完全試合をやってのけた。立ち上がり河野、法元を連続三振にとって会心のスタートを切った森滝は、内野陣の好守にも助けられて懸命に投げた。

これにこたえた国鉄は三回根来が三塁強襲打して暴投で二進、森滝の二越えテキサス安打で一,三塁としたあと、土屋の二ゴロで待望の先取点をとった。森滝はこの得点に守られ内角へのシュート、外角いっぱいに決まるカーブで打たしてとる巧みなピッチング、五回先頭の江藤に三塁線を襲う強ゴロを打たれたが徳武が横っとびにそれをとらえ森滝をささえた。

七回には濃人監督が代打を繰り出して森滝をくずそうとしたが、河野に代わった横山の三塁線難ゴロをまたも徳武がうまくさばいた。

このあと二死から井上に選ばれ0−3となったが、きれいに二つのストライクをとった。続いてファウルで粘られたが8球目のインコースに大きくはずれるボールは、のけぞってよけた井上のバットに当たってまたファウル。結局遊ゴロにかわして事なきを得た。

そして最終回にも小渕、与那嶺、酒井の代打者をうまく料理して完全試合とした。徳武の再三にわたる美技に助けられたとはいえ最後まで落ち着いて投げ抜いた森滝のピッチングは絶賛してよい。(渡辺 哲)


 
    1 1 3  
        2 5  
              3 8  
              2 7  
            球       2 3  
                6
                  1
          ゴロ     1 5
              1
                  4  
 

森滝投手の話(低めへ投げ分けた)
落ちるシュートとカーブをコーナーの低め低めへ投げ分けた。いつもは立ち上がりが悪いが、きょうは徳武の美技などで、一,二回走者を出さなかったので三回ごろから相当いけると思った。七回井上に3ボールになったときは打たれてもよいと思って真ん中に投げた


 

根来捕手の話
前半はカーブを多く、ときどきシュートを投げさせた。後半は中日があててくるのでストレートに切り替えた。森滝の気を落ち着けるために打たれてもいいから思い切って投げろと注意した。


 

砂押監督の話
徹底して低めに決まったのがよかった。それに前半徳武の二つのファインプレーがきいた。中日打線はタイミングが合わないのか、あせったのか後半ちょっとバッティングが雑だったようだ。森滝が完全試合を意識してからは入念に投げろと注意しただけだった。


 

国鉄球団重役兼技術顧問西垣徳雄氏の話
森滝としては入団いらい最高のピッチングだ。特に落ちるシュートが効果をあげていたように思う。もっとも七回以降タマが上ずっていたので完全試合はムリだと思っていた。


 

野球評論家浜崎真二氏の話 
平凡に見えても完全試合をやるだけに、やはりりっぱなピッチングだった。とくにシュートとカーブの配合がうまかった。しかし中日の各打者がボールに手を出したのも大いに森滝を助けていた。


 

森滝義己という投手

三十五年立大から国鉄入り、立大時代東京六大学リーグ戦ではじめてという44イニング無四球の快記録をつくった。先輩杉浦忠
(南海)に似たアンダースロー、落ちるシュート、外角カーブのコントロールが正確。

しかし入団第一年の昨年はいかにも球威がなく、1勝8敗とさんざんな不成績だった。今シーズンは四月二十七日の対阪神戦(後楽園)で完投勝利をあげてさいさきのいいスタートを切り、現在4勝2敗。

入団にさいし立大の先輩杉浦にあやかるため背番号21を希望したのは有名な話。23歳。


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