昭和23年5月15日付け 神戸二高新聞 第1号より抜粋

打撃賞 大西君に輝く 

秋風の二中軍にあってサン然と輝くものは大西清三塁手の打撃賞である。

同君は2年生の時代よりナインに加わり始めレフトにその剛肩を誇っていたが、秋山三塁手なき跡は、ホットコーナーを守る身となって現在に及んでいる。 

今回の全国高校選抜野球大會には大西、藤池、迫平トリオの中堅として3番を打ち、打席7、安打4、打率5割7分2厘の猛打を浴びせ晴れのリーディングヒッターとなった。

遠く二中時代においても先例なく眞に武陽原史に特筆されるべき事柄である。 

彼の打法は豪快そのものである。アウトコーナーの球を好んで引っ掛けるそのバッティングは近代打法の花とも言うべきか、彼の気性が良くにじみ出ていると思う。

彼は守備においてもその鐵桶鐵腕を誇っている。 

去年の優勝大會豫戦には迫平、河野兩君と共に兵庫縣の優秀選手として選ばれていた。

(中略)

大西清君を講堂の前にキャッチして打撃賞の感想を聞いてみた。

彼は例の特長ある笑を見せながらけんそんしながら次の如く語った。

「僕は打率なんか全然考えなんだ。打撃賞も新聞を見るまで知らなかった。まあ打撃賞言うても3本はまあまあのヒットやけど1本は例のあのポテンヒットやからあんまり自慢にはならんな」

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