大正9年(8陽会)1920年

NO1

《武陽18号》 大正9年11月發行
[關西中等學校野球大會]
  大正九年正月より鳴尾野球場に於て大阪高工主催の下に開催さる。
   極寒の頃、宿将木村、北澤、島津を加へた舊メンバー、最後の思出多い戰であっ
   た。

◆大正9年1月4日(日)鳴尾野球場
 神戸二中  330 060 0=12
 貿易語學校 000 010 0=1


◆大正9年1月5日(月)鳴尾野球場
 神戸二中 022 000 012=7
 神港商業 100 000 000=1


◆大正9年1月6日(火)鳴尾野球場
 神戸二中 000 000 000 000 00=0
 天王寺中 000 000 000 000 01=1

  (延長14回)

 第三日目の敵は天中だ。去りし第三高等學校野球大會に於て易々彼れを一蹴したりとはいへ彼も亦大阪最強のチームだ。復讐の意氣燃ゆるが如く、果然試合は一大決戰を演じ回を重ぬる事十有四、飽氣なき一小事によりて勝は遂に彼のものとなりぬ。即ち一對 0だ。

《武 陽》
〈本學年度の最初の練習試合〉
大正9年4月1日(木)
 新學年は來た、木村、島津の宿将を送り出した我が部は新チームを組織し新進の意氣
 衝天の概あり。

 神戸二中 320 011 020=9
 神港商業 122 001 000=6


大正9年5月22日(土)神戸二中
 神戸二中 002 001 300=6
 神戸高商 300 000 000=3


大正9年6月26日(土)板宿グラウンド
 神戸二中 000 000 000=0
 神戸高商 000 000 001=1


大正9年7月8日(木)神戸二中
◎對瀧川中學戰
 本校々庭に於て行ふ、松浦、名倉共に不在、中垣を投手として戰ふ、本校12+A瀧川
 1にて終る。

〈朝日新聞〉
【第6回全國野球選手権大會兵庫豫選】
大正9年7月30日(水)東遊園地
午前8時20分開始 午後4時閉戰(降雨中断)
(審判)球審・深見 球審・大場

▽1回戰
 神戸二中 000 000 200=2
 神戸商業 001 300 200=6


 〔二 中〕   〔神 商〕
 左 木 谷   中 瀧 川
 二 野 澤   三 江 藤
 投 松 浦   投 濱 崎
 捕 将 積   捕 網干兄
 三 金 澤   遊 草 柳
 一 井 垣   左 網干弟
 右 花 房   一 岸 本
 遊 名 倉   二 廣 田
 中 田 中   右 中 野

 失四三安打   失四三安打
 策球振打數   策球振打數
 3315328   1214734

□第一回 二中木谷劈頭四球を利して出て野澤犠打して送り早くも機を孕むかと思はれしも松浦、将積右翼飛球を呈して空し。
△神商代って瀧川亦最初の四球に出で江藤の三振後二壘強襲に生きしも濱崎續いて三振し網干は二壘匍球に仆れて為す所なし。(兩軍零)

□第二回 二中三者三振に葬り去られる。
△神商一死後網干(弟)遊越安打に出で盗壘し岸本の三振後廣田遊匍失に生き走者一三壘に及びしも中野三振す。(兩軍零)

□第三回 二中名倉遊匍、田中、木谷共に投手に名をなさしむ。
△神商一死後江藤四球に生き濱崎の右翼安打の失に江藤長驅本壘に驀進して貴重なる一點を先取し濱崎三壘に據って尚機ありしも後續二者三振す。(神商一、二中零)

□第四回 二中一死にして松浦右安打に出で盗壘再び好機來りしも将積三振するや松浦捨身の三壘盗奪を企てゝ成らず。
△神商網干(弟)復も左安打を放ち岸本次て右翼にシングルを戞飛ばせしを野手一壘に低投ファンブルせしめて無死走者一三壘に據るの絶好のチャンス臻りしが神商策戰の粗策廣田、中野を中飛と三振に終らしめ二中の危機去るかと思はれしに瀧川の投匍を野手一壘に悪投して網干、岸本轡を駢べて生還二點を加算せしより二中の陣容漸く亂れて、更に江藤の安打に瀧川を生還せしめ濱崎の右飛に漸く回を移す。(神商三、二中零)

□第五回 二中攻撃尚も振はず金澤、井垣共に三飛し花房三振す。
△神商代って網干(兄)中飛に退き草柳打盤に立つの時一天黒く掩ひ來り雲足は見る見る内に颯と亂れて沛然たる驟雨となり遂に試合中止の止むなきに至りしより審判員よりタイムを宣し兩校主将及び委員協議の末午後三時グラウンドの乾燥を待って引き續き草柳の打撃より同試合を繼續す、斯くて草柳三振に終り網干(弟)投匍す。(兩軍零)

□第六回 二中名倉一匍を呈し田中、木谷敵投手に弄殺されて二中の打撃依然として振はず。
△神商岸本投飛を揚げて廣田三振、中野遊匍を得られて止む。(兩軍零)

□第七回 ラッキーセヴンの名に反かず二中奮然として起ち野澤無死にして四球を利して出づるや松浦の長棍風を切って戞と鳴れば熱球發止とフェンスを打ちて三壘打となり野澤先づ入り次で将積二匍を放って松浦を入れ二中此回二點を回復し應援團に歡呼湧きしも後續二者凡打す。
△神商亦發憤瀧川無死にして二匍を過らして出て江藤三壘側に内野安打して續き二中再び危機を招來し濱崎中堅にシングルするや瀧川本壘に猪突し網干(兄)遊匍に死するの間江藤生還、直ちに二點を酬い草柳左飛、網干(弟)三振す、得點神商六二中二、勝敗の數漸く定まれるが如し。(二中二、神商二)

□第八回 二中花房右飛に斃れ名倉三振し田中四球を得て出でしも二壘をスティールせんとして刺さる。
△神商三者凡打す。(兩軍零)

□第九回 インニングは移って二中最後の攻撃に入り掉尾の勇を鼓して奮戰木谷、野澤の二死後松浦二匍の失、将積一越安打に二走者を出せしも金澤三振して萬事休し武陽球團怨みを呑んで還る、時に四時。

《武 陽》
☆對慶應浪速倶楽部戰
大正9年8月24日(火)板宿山下グラウンド
四對一にて本校の勝。

☆對姫路中學戰
大正9年8月29日(日)姫路中學
姫路に征す。先づ姫中と戰ひ本校2アルファー對1にて勝。

☆對三十九聯隊戰
大正9年8月29日(日)三十九聯隊
アルファー附きで3對2、本校の勝利。

☆對神港商業第二戰
大正9年9月3日(金)神戸二中
4A對1、本校の勝。

☆對瀧川中學第二回戰
大正9年9月18日(土)板宿山下グラウンド
5A對1、本校の勝ち。