大正3年(2陽会)1914年

NO1

《武  陽》
『關西学生野球大会出征の記』
8月2日(日)場所不明
 ◎對京都中学
 7回ゲーム 9A對2

 ◇安打 二中4、京中2

 〔二中軍〕    〔京中軍〕
 3 天 野    1 煎 谷
 2 松 本    4 勢 野
 8 今 村    3 明 田
 5 宮 岡    5  牧 
 6 岡 本    6 湯 浅
 4 今 井    2 田 村
 9 小 野    8 中 山
 7 橋 本    7 田 邉
 1 田 中    9 丹 波
 

8月3日(月)場所不明
 ◎對大阪工業
 5回ゲーム 
12A對2
 ◇安打 二中5、大工3

 〔二中軍〕(我軍のメンバー昨日に同じ)
 〔大工軍〕
 5 北 村
 3 上 田
 2 桶 口
 1 原 田
 6 山 下
 7 尾 畑
 8 二 宮
 9 雪 本
 4 村 上

8月4日(火)場所不明
 ◎對大阪明星商業
 7回ゲーム 9A對1

 ◇安打 二中
10、明星1

 〔二中軍〕(メンバー前日に同じ)
 〔明星軍〕
 1  林 
 8  森 
 3 澁 河
 6 中 川
 3 中 西
 4 田 村
 5 安 田
 7 岸 本

 9 田 村
 

◎對神戸一中
 大正3年8月4日(火)
 連戦連捷の我軍は八月四日午前中に明星商業を屠り同日午後神戸一中と干戈を交へ
 ぬ。

 神戸一中 041 000 0=5
 神戸二中 101 041 A=7

 ◇安打 一中5 二中3

 〔一中軍〕     〔二中軍〕
 8 塚 本     3 天 野
 3  梶      2 松 本
 6 松 崎     8 今 村
 1 三 宅     5 宮 岡
 2 藤 井     1 岡 本
 5 井 上     4 今 井
 7 木 津     9 小 野
 9 久保田     7 橋 本
 4 平 川     6 田 中

 第一回。一中先攻、敵の老将塚本先づ二壘を突いて斃れ、梶又Pゴロに斃れ松崎中堅に安打せしも三宅遊撃を突いてやむ。我軍代り攻む。天野二壘を襲ひて殪れしも松本投手の失に生くや巧に盗壘を重ねて三壘に據る。次ぐ今村遊撃手を誤らしめ先づ最初の一點を得宮岡四球を得しも岡本三振、今井ファウルを捕手に得られて止む。

 第二回。 藤井二壘打を打ちて出づるや井上一壘越の安打を飛ばし木津四球を利して滿壘となる久保田を三振に屠りしも平川に四球を利せしめ先づ敵に一點を得しめぬ。平川一壘に刺されしも續く塚本二壘を強襲して出で井上生還塚本二壘に進む。
續く梶の遊撃越の安打に木津、塚本竝び本壘に入る。梶三壘をスティールせんとして刺される。敵の四點を得たるに反して我軍甚だ奮はず。

 第三回。我軍は岡本をして田中に代りプレートに立たしめぬ。松崎三壘手の失に生き三宅も亦投手の失に出で藤井Pゴロに殪れ井上遊撃手にフライを得られしも木津の遊撃強襲に松崎生還せしむ。久保田二壘ゴロにやむ。我軍天野三壘を突いて生き松本のバントにて進壘し今村遊撃を襲ひて斃れしも天野生還、宮岡フライを二壘に呈して名をなさしむ。

 第四回。平川三壘を襲ひてならず、塚本も同じく三壘を突いて死し、梶死球に出で松崎右翼手の失に生き三宅四球を得て滿壘となりしも藤井三振に屠られてやむ我軍凡打。

 第五回。敵の凡打にかへ我軍好機到れり、橋本四球に出でしも田中遊撃をついて為に橋本フォースアウトとなり天野左翼に安打し松本四球に出で滿壘となる。今村投手を突いて田中本壘に刺さるれど依然滿壘なり而も二死の後なり。

 宮岡Pゴロを呈せしも一壘手投手の投球を逸し天野、松本長躯して本壘に入る。續く岡本一振すれば戞然として音あり。二壘打は中堅に戞飛ばされぬ。得たりと今村、宮岡の二騎又牙城を陥し入る。今井フライを投手に得られてやむ。

 第六回。前回の得點にて形勢急變し敵軍色を變じ狼狽する事甚だし。平川二壘に凡打し塚本中堅に安打せしも三壘上の露と消え失せぬ。時に今井脚部を負傷し村田代る。梶遊撃をついて生きしも二壘に刺されてやむ。我軍小野Pゴロに倒れしも橋本四球を得田中の中堅安打に生還、更に一點を加ふ、天野二壘に松本遊撃飛球に敵代り攻む。

 第七回。松崎三振し三宅四球を利せしも二壘に刺され藤井三振してさしも神戸の東に覇を稱したる一中も我精鋭の為に粉砕せられぬ。