大正14年(13陽会)1925年

NO2

《武 陽》
▽第2回戰對甲陽戰
 大正14年5月11日(月)大手球場
 五月十一日午後二時より大手球場にて對甲陽戰を行ふ。
 審判八木(球)平岡(壘)の下に甲陽先攻にて戰端を開く。十一對六にて惜しくも敗
 らる。

 第一回。甲陽=左翼左をぬく見事なる二壘打に米澤で上田二匍球後(田中廣)の左翼越え三壘打に米澤生還す。次ぐ田中猛左飛犠打にて田中廣生還す、青山三匍失、松平死球に送られしも河瀬遊撃ゴロに松平三壘に封殺さる。
△二中無為。(二中○、甲陽二)

 第二回。甲陽=萩野左中間直球の二壘打に出で井上右飛後三進し米澤の中前安打に生還す、上田二匍、田中中飛に退く。
△二中=尾西左中間越えの痛快な三壘打に出でしも少しく離壘せし為殺さる、あたらチャンスを逸す、吉本四球に送られ橋爪の三壘ゴロに二壘にて封さる、澤野三振に止む。(二中○、甲陽一)

 第三回。甲陽無為。
△二中=中野三遊間を抜く安打ありしのみ。(兩軍○)

 第四回。甲陽=2四球に2失策にて一點を増す。
△二中=尾西凡打し次ぐ二者三振に倒る。(二中○、甲陽一)

 第五回。甲陽無為。△二中凡退す。(兩軍○)

 第六回。甲陽=1四球に左翼越え田中(猛)の三壘打にて一點を得。
△二中劈頭中野左翼越の三壘打に出で西村三振、不死にて一失を得て二壘に據る、中野生還す。酒井遊匍失に生き尾西の三壘ゴロを捕手逸球して西村、酒井生還し三點を恢復すれど吉本、橋爪共に三振に葬られ澤野左飛に倒る。(甲陽一、二中三)

 第七回。甲陽=松平、河瀬共に投匍失に生き萩野三振後井山の遊撃越直球安打に滿壘となる、米澤遊飛、上田よく球を選んで四球となり松平生還す、田中廣遊匍に危機を脱す。
△二中=眞鍋遊撃ゴロ内野安打に生き森本三振後中野四球に一二壘に據る、西村左翼越え三壘打に二者生還し、續く酒井又同じく左翼越え三壘打に西村生還すれど尾西投匍、吉本三振に好機を逸す。(二中三、甲陽一)

 第八回。甲陽=田中(猛)中飛、青山右飛失に二盗し、松平右飛後河瀬二遊間安打に青山生還し、萩野左前安打に出で遊飛失、左飛失に河瀬、萩野生還す、上田捕飛に退く。
△二中無為。(二中○、甲陽三)

 第九回。甲陽=二死後青山二壘にあり右飛失、二匍失に青山生還し、萩野三遊間安打に又松平生還す、井山三匍に退く。
△二中=最後の猛襲に出でんとしたれども武運拙く、三者飛球に萬事休す。(二中○、甲陽二)
 遂十一對六にて大接戰後敗らる。時に四時二十五分。

▽2回戰
 甲陽中學 210 101 132=11
 神戸二中 000 003 300=6


       打得安犠盗三四失残
 〔甲 陽〕       死
       數點打打壘振球策壘
 8 米 澤 622020002
 7 上 田 310000302
 3 田中廣 611000012
 5 田中猛 401101200
 2 青 山 620010022
 1 松 平 420001210
 6 河 瀬 611001023
 4 萩 野 623011012
 9 井 山 601001002
       471191457715

       打得安犠盗三四失残
 〔二 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 7 中 野 422000111
 6 西 村 521001010
 2 酒 井 511010001
 8 尾 西 501010000
 9 吉 本 300003120
 1 橋 爪 400002031
 4 澤 野 400001010
 3 眞 鍋 311000012
 5 森 本 400004030
       376602112125
 (田中負傷の為酒井と代る)

 ▽三壘打=中野、西村、酒井、尾西、田中廣、田中猛
 ▽二壘打=米澤、萩野 ▽逸球=青山(2)

〈神戸新聞〉
[第4回京神中等學校對抗野球戰]

 大正14年5月11日(月)神戸・大手山下グラウンド 午後2時10分=4時30分
 審判・八木(球)岩下、平岡(壘)
▽2回戰
 甲陽中學 210 101 132=11
 神戸二中 000 003 300=6


 〔甲陽中學〕打得安犠盗三四失
       數點打打壘振球策
 8 米 澤 62202000
 7 上 田 31000030
 3 田中廣 61100100
 5 田中猛 31111021
 2 青 山 62100000
 1 松 平 41000120
 6 河 瀬 61101102
 4 萩 野 62302101
 9 井 山 60100100
    計  46111016574

 〔神戸二中〕打得安犠盗三四失
       數點打打壘振球策
 7 中 野 42200111
 6 西 村 52100102
 2 酒 井 51101000
 8 尾 西 50101000
 9 吉 本 30000312
 1 橋 爪 40100201
 4 野 口 40000101
 3 眞 鍋 31100001
 5 森 本 40000402
    計  37670212210

 △三壘打=田中(廣)、田中(猛)、中野、西村、酒井、尾西 △二壘打=米澤、萩 
 野(2) △暴投=橋爪 △捕手妨害=青山 △残壘=甲陽17、二中7
 △試合時間=2時間20分。

第一回。甲陽=米澤左翼に二壘打し上田の二匍に進み田中(廣)の左越三壘打に生還、田中(猛)の左翼犠飛に田中(廣)還る。松平四球に出たが成らず。
▼二中凡退。(甲陽二、二中零)

第二回。甲陽=萩野左中間二壘打、井上右飛の時三盗し米澤の中前安打に還る。上田の二匍に米澤三壘に據ったが田中(廣)中飛に止む。
▼二中=尾西左越の三壘打に出たが離壘して刺され吉本四球に出たが續かず。(甲陽一、二中零)

第三回。甲陽=松平四球にでたるのみ。
▼二中=眞鍋捕手妨害に出で森本三振後中野三壘左を抜く安打に續いたが無為。(兩軍零)

第四回。甲陽=二死後米澤投匍一壘逸球に出で二盗、上田四球の時田中(廣)の三匍一壘高投に米澤還り田中(猛)四球に滿壘となったが青山遊匍。
▼二中凡退。(甲陽一、二中零)

第五回。甲陽=二死後萩野三匍失に出たが井山三振。
▼二中無為。(兩軍零)

第六回。甲陽=一死後上田四球、田中(廣)三振後田中(猛)左越三壘打を出し上田還る。青山三匍。
▼二中=中野左中間三壘打に出で西村の捕匍一壘高投に生還。酒井の遊匍失と盗壘で走者三、二壘に據る時尾西の三匍を壘手本壘に悪投し西村、酒井兩者生還、三點を恢復す。(甲陽一、二中三)

第七回。甲陽=松平遊匍失、河瀬投匍失に出で一死後井山の左前安打に松平還る。
▼二中=眞鍋遊撃内野安打に出で森本三振、中野四球の時西村左越三壘打に眞鍋、中野還り酒井左越三壘打に西村亦還り同點となる。尾西投匍、吉本三振。(甲陽一、二中三)

第八回。甲陽=一死後青山右前安打、野手悪投に二壘を得、松平右飛後河瀬の安打、萩野左翼二壘打と井上の遊匍失に三點を加ふ。上田捕邪飛。
▼二中=橋爪投觸安打に出たが野口の捕邪飛後眞鍋の二匍に封殺され森本三振。(甲陽三、二中零)

第九回。甲陽=一死後田中(猛)四球に出たが青山の三匍に封殺、松平の右飛失に田中(猛)還り河瀬の二匍失と萩野の三遊間安打に青山還る。
▼二中=奮戰したが酒井遊匍失に出たるのみに止み結局十一對六で甲陽勝つ。閉戰四時三十分。