大正13年(12陽会)1924年

NO1

《武 陽》
【第三回京神中等學校對抗野球大會】
[神戸側豫選出場之記]

  第三回京神大會は兵庫縣男子中等學校運動聯盟主催の下に四月十九日より大手山下グラウンドに於て開かれたり。

第一回戰、本校不戰勝となる。
第二回戰、大正13年4月27日(日)
 昨年の全國大會優勝校甲陽中學と組みこれを蹴破す。午前九時五分河合(球)高津(壘)兩氏審判の下に我軍後攻にて戰端を開く。

第一回 甲陽、田中(猛)第一球を打ち三壘及び左翼を過らして一擧二壘に進む、捕逸三進、山田、青山三振の後芝の中前安打に生還す。其の後芝二盗せしも鈴木三振に退く。
△二中、尾西遊匍後中野四球に送られて出で遠く離壘したる為一、二壘間に挟まれしが遊撃の悪投に二進し三輪の投匍一壘高投に長驅生還し東田の投匍に三輪二、三壘間に挟まれたが二壘手の悪投に挟殺を免れ市の投前安打に滿壘となる。此の時投手牽制せんと三壘に悪投したる為め三輪生還、酒井投匍の後吉本四球に又も滿壘となり西村の中前安打に東田生還したが市も續いて還らんとし本壘寸前に刺さる。(二中三、甲陽一)

第二回 甲陽、田中(廣)中堅左を抜く三壘打を戞飛ばしたが井山投匍、森田三振、米澤投匍に死し點を成さず。
△二中、石場投匍、尾西四球に出で中野三振後二盗し三輪の投匍一壘悪投に生還す、東田中右間に痛快なる二壘打戞飛ばして三輪を還し自分は三壘に進みすぎて刺さる。(二中二、甲陽○)

第三回。甲陽、田中(猛)四球に送られて出で上田三振の後捕逸に二進したが青山、芝三振。
△二中、市左飛、酒井三匍、吉本三振。(兩軍○)

第四回。甲陽、鈴木三振の後田中遊匍失に出で井山の投匍に二進したが森田一飛に退く。
△二中、西村二匍一壘悪投に一擧二壘に據り石場の一匍に三進、尾西遊匍に生還、中野三振。(二中一、甲陽○)

第五回。甲陽、米澤三振、田中(猛)四球に送られたが投手牽制球に刺され上田中飛に退く。
△二中、三輪右前安打に出で東田捕飛、市三振の後酒井三遊間安打に三進、酒井も二盗したが吉本三振に惜しくも退く。(兩軍○)
第六回。甲陽、青山投匍、芝右飛、鈴木投匍。

△二中、西村遊匍失に出たが石場の三匍に封殺さる。尾西捕手のインターフェアーに出で中野左飛の時左翼手二壘に悪投した為走者、二、三、壘に據りしも三輪遊匍に又も好機を逸す。(兩軍○)

第七回。甲陽、田中一匍、井山、森田、三輪の快腕にひねられて共に三振す。
△二中、東田二匍一壘失に出たが市の三匍に封殺され市二盗を企でゝ刺され酒井遊匍に無為。(兩軍○)

第八回。甲陽、米澤四球に出で田中(猛)の遊匍と上田の一匍に三壘に進み青山の遊匍失に生還し芝の右翼越の三壘打に青山亦生還して二點を恢復す、鈴木三振。
△二中、吉本二匍、西村二匍失に出たが石場の三匍に封殺、尾西左飛。(甲陽二、二中○)

第九回。甲陽三點を恢復せんものと必死となりて田中(廣)ボックスに立ち三遊間に安打を打ちて出たが井山の投直に併殺され森田四球に出たが二盗せしも米澤三振に萬事休し閉戰十一時十分、六A對三本校軍勝矣。

▽2回戰
 甲陽中學 100 000 020=3
 神戸二中 320 100 00X=6


 〔甲 陽〕 打得安犠盗三四失残
             死
       數點打打壘振球策壘
 5 田中猛 210010201
 4 上 田 400002010
 7 青 山 410002010
 2  芝  302011002
 1 鈴 木 400003040
 3 田中廣 402000022
 9 井 山 400000000
 6 森 田 300012121
 8 米 澤 310002100
       313403124106

 〔二 中〕 打得安犠盗三四失残
             死
       數點打打壘振球策壘
 8 尾 西 410010101
 7 中 野 310002110
 1 三 輪 421000001
 2 東 田 411000000
 5  市  401001010
 4 酒 井 401000001
 9 吉 本 300002101
 6 西 村 411000021
 3 石 場 400000002
       3465015347

〈神戸新聞〉
[第3回京神中等學校對抗野球戰]

 大正13年4月27日(日)神戸・大手山下グラウンド
 午前9時5分=11時5分 審判・川合(球)高津(壘)

▽2回戰
 甲陽中學 100 000 020=3
 神戸二中 320 100 00X=6


 〔神戸二中〕        〔甲陽中學〕
 8 尾 西         5 田中猛
 7 中 野         4 上 田
 1 三 輪         7 青 山
 2 東 田         2  芝 
 5  市          1 鈴 木
 4 酒 井         3 田中廣
 9 吉 本         9 井 上
 6 西 村         6 森 田
 3 石 場         3 米 澤

 打安犠盗三四失       打安犠盗三四失
 數打打壘振球策       數打打壘振球策
 33502543       314021247

☆神二中軍奮戰して甲陽の堅壘を抜く
 全日本の優勝者惜敗 三對六の戰績を以て☆


第一回。甲陽=田中(猛)三匍失に一擧二壘に進み捕逸に三進、上田、青山三振の後芝の中前安打に生還、先づ一點を先取す。其後芝二盗したが鈴木三振に退く。
△神二中=尾西遊匍、中野四球に送られて出で遠く離壘したる為め一、二壘に挟殺されたが、遊撃の悪投に二進し三輪の投匍、一壘高投に長驅生還し東田の投匍に三輪二、三間に挟殺されたが二壘手の悪投に挟殺を脱れ市の投前内野安打に滿壘となる此の時投手又も牽制せんと三壘に悪投したる為め三輪生還。酒井投匍の後吉本四球に又も滿壘となり西村の中前安打に東田又還ったが市も續いて生還せんとして寸前に刺さる。(甲陽一、神二中三)

第二回。甲陽=田中(廣)中堅左を抜く三壘打を戞飛ばしたが井上投匍、森田三振、米澤投匍。
△神二中=石場投匍、尾西四球に出で中野三振の後二盗し三輪の投匍一壘悪投に生還。東田中右間に絶好の二壘打を飛して三輪を還し自分は三壘に進みすぎて刺さる。(甲陽零、二中二)

第三回。甲陽=田中(猛)四球に送られて出で上田三振の後捕逸に二進したが青山、芝兩者三振。
△神二中=市左飛、酒井三匍、吉本三振。(兩軍零)

第四回。甲陽=鈴木三振の後田中(廣)遊匍失に出で井上の投匍二進したが森田一飛に退く。
△神二中=西村二匍一壘悪投に一擧二壘に據り石場の一匍に三進、尾西の遊匍に生還。中野三振。(甲陽零、神二中一)

第五回。甲陽=米澤三振、田中(猛)四球に出たが離壘して刺され上田中飛凡退。
△神二中=三輪右前安打に出で東田捕飛、市三振の後酒井の左前安打に三進、酒井も二盗したが吉本三振に惜しくも退く。(兩軍無為)

第六回。甲陽=青山投匍、芝右飛、鈴木投匍。
△神二中=西村遊匍失に出たが石場の三匍に封殺、尾西インターフェアに出で中野左飛の時壘手二壘に悪投したる為め走者二、三壘に據ったが三輪遊匍に好機を逸す。(兩軍零)

第七回。甲陽=田中(廣)一匍、井上、森田共に三振。
△神二中=東田二匍一壘失に出たが市の三匍に封殺、市二盗を誤り、酒井遊匍に無為。(兩軍零)

第八回。甲陽=米澤四球に出で田中(猛)の遊匍と上田の一匍に三壘に進み青山の遊匍失に生還。芝の右翼越の三壘打に青山又生還して二點を恢復すれば觀衆の熱狂其の極に達す。鈴木三振。
△神二中=吉本二匍、西村二匍失に出たが石場の三匍に封殺、尾西左飛。(甲陽二、神二中零)

第九回。甲陽=田中(廣)遊撃左を抜く安打に出たが井上の投直に併殺を喫す。森田四球に出で二盗したが米澤三振に萬事休し結局六A對三で神二中の勝利に帰した。閉戰十一時五分。

《武 陽》
▽準決勝
 大正13年5月10日(土)山下グラウンド
 瀧川中學と組む、午後三時四十分、木村(球)川島(壘)兩氏審判の下に瀧中軍先攻に戰端を開く。

第一回。瀧中、別所遊匍に死後岡本一壘越の安打に出でたが松井の投匍に併殺さる。△二中、市觀衆中深く三壘打を戞飛ばして出で酒井四球に續いて二壘を盗み走者二、三壘に據る時尾西右前安打に市生還、三輪の遊匍低投に酒井、尾西還り先づ三點を得て尚ほ無死を續けて居たが東田四球の後中野の遊直球を岡本好く捕へて自ら二壘に三輪を併殺す、西村遊匍に退く。(瀧中○、二中三)

第二回。瀧中、島本二匍、中島中飛、田代左飛に凡退。
△二中、田中三振、石場遊匍、市三振。(兩軍○)

第三回。瀧中、名村三振、平尾左飛、今井一飛に輕く屠り去る。
△二中、酒井四球、尾西二遊間安打に走者一二壘に據り三輪遊飛後東田右前安打をはなち酒井を還す、中野二飛、西村遊匍に止む。(瀧中○、二中一)

第四回。瀧中、別所三遊間安打に出でしも離壘しすぎて投手の牽制球に刺され岡本右飛後松井二匍失に出たが島本の投匍に退く。
△二中、田中遊匍の後石場左中間に深く二壘打を戞飛ばし市の遊匍失に三進し市の盗壘を防がんとして一壘手の二壘に悪投する間に生還、酒井の中前安打に市還り尾西の遊飛後三輪死球、東田四球に滿壘になったが中野の二匍に三輪封殺されて惜しくも止む。此の回石場の二壘打後瀧中軍投手を大泉にかへ今井右翼に退き中島退く。(瀧中○、二中二)

第五回。瀧中、大泉二匍、田代投匍後名村二匍失に出でしも平尾の直球を三輪巧みに捕へて我軍の守備愈々堅し。
△二中、西村死球に出で田中三振の後二盗、石場四球後共に盗壘して走者二三壘に據りしも市一邪飛、酒井右飛に無為。(兩軍○)

第六回。瀧中、今井三振の後別所二遊間安打に出で二盗、岡本三振後松井三遊間安打に三進、松井二盗して走者三二壘に據りしが島本の一匍に止む。
△二中、尾西四球、三輪中飛、東田四球に出で重盗し走者三二壘に據りしが中野、西村共に三振して惜くも退く。(兩軍○)

第七回。瀧中、大泉遊匍一壘高投に出で二盗田代四球後捕逸に走者三二壘に據り而も無死なり瀧中軍この時點を成さずば再び好機來らずと決眦して起ちしも三輪の快腕にひねられて名村、平尾、今井の三者枕をならべて三振す。
△二中、田中四球に出で石場の遊撃右を抜く安打に一擧三壘に至らんとして刺されしが市中前安打、酒井の遊匍失に滿壘の好機至り尾西の三匍に石場生還して敵の止めを刺し結局七A對○のコールドゲームを以て二中軍大勝す時に五時半。