巻頭文−1

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野球部創立100周年をお祝いして 

                   

 

                 
                   兵庫県立兵庫高等学校長

                     坂田 正人


 明治41年に神戸第二中学校野球部が創設され、本年で
100周年を迎えられるとのこと誠におめでとうございます。現兵庫高等学校にとりましても、歴史ある野球部OBの皆様はラグビー部と並んで大変ありがたい支援者です。本校は兵庫県の高等学校野球界における名門校として、今まで数々の名選手や傑出した人物を輩出してきました。

 創設初期に野球部のキャプテンで、今なお沖縄県の県民から「沖縄の島守」として慕われている元沖縄県知事の島田叡さんもその一人です。

 全国選抜高等学校野球大会で、第1回大会から平成16年の第86回大会まで連続出場した高等学校は全国にわずか15校しかないとのことです。その偉業を認められ、夏の第80回記念大会の開会式に本校も招待されました。現野球部も60人近い部員を抱え、朝、昼、放課後と練習に余念がありません。単なる技術面だけでなく、兵庫高校野球部員として日常生活における礼儀作法や人間としての教養を高める訓練も成果をあげています。

 先日、県教育委員会の担当者から、本校が大正4年の全国大会出場した折の記念の品についての問い合わせがありました。兵庫県立歴史博物館で熱闘甲子園を記念する催し展を考えているようです。

 多くの日本人が持っている高校野球に対する一種独特の思い入れは一体どこから来るのでしょうか。単なる球技、団体競技なら他にもあるし、人気のあるスポーツも沢山あります。しかし、チームが勝利するために自分を犠牲にする姿、一球に喜び、一球に泣く姿、9回に逆転があるという醍醐味、エラーをしてしまってうずくまる野手の姿、そんな姿に自分の生き方を重ねるからかも知れません。

 即ち野球に「人生のドラマ」を見ているのでしょう。そんな意味では、たすきを繋いでいく駅伝もそうかもしれませんが、同じフィールドで声を掛け合い、励ましあい、「攻撃」と「守り」が完全に入れ替わる競技、それらがなぜか日本人の感覚に合っているのではないでしょうか。

 数々の栄光の歴史に包まれた兵庫高校野球部、現在はなかなか思うような戦績を残せてはいませんが、狭いグランドに沢山の運動部がひしめき合いながら生徒たちは懸命に頑張っております。

 OBの皆様からは、物心両面でさまざまな温かい援助を頂いていることに改めて感謝を申しあげるとともに、本校野球部とOB会組織の更なる発展をお祈りして、100周年を迎えてのお祝いの言葉といたします。
 

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