巻頭文

 

 「大空高き鷹取の下に立ちたる武陽城」で始まる野球部歌は、今でも私の心の中に青春時代の思い出として深く刻み込まれています。対神戸高等学校との定期戦、春の選抜野球大会予選、夏の全国高校野球選手権大会予選などに応援に行き同級生の活躍に大声で謳った野球部歌。野球部員ではないものの一兵高生にも様々な感動と夢を与えてくれ、兵高生なのだと実感するときでした。これは野球をはじめとする学校部活動がもつ大きな意義の一つと思います。部員として活動された皆さんにとっては、それ以降の人生における活躍の源になっていると推察いたします。私も見るだけの野球でしたが、感動を与えてくれた高校野球への思いが、大変微力ではありますが兵庫県高等学校野球連盟副会長職を務めさせていただくきっかけとなりました。

 さて、この度二中以来の武陽野球の足跡を野球部史として刊行するため、原稿依頼・資金集め・編集作業など東奔西走された武陽野球倶楽部の皆様に敬意の念を表します。

この部史は皆さんの青春の1ページだけでなく、後に続く兵庫高校の野球部員にとって精神的な宝庫とも言える貴重なものです。随所に見られる四綱領「質素剛健 自重自治 これを貫くに至誠をもってす」の精神を、言葉でなく部活動を通じて実践された姿が百万言をもっても代え難く伝わってきます。

 最後になりましたが、この部史刊行を機に武陽野球倶楽部のより一層の活性化を祈念いたしますとともに、本校野球部へのご支援・ご理解を賜りますようお願い申し上げ、刊行のお祝いの言葉とさせていただきます。

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